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包帯の人


408 本当にあった怖い名無し 04/09/22 22:31:09 ID:EZV9YWcB
夢の話です。
私は夜中、家の庭で電車を待っていました。
家の庭というより、その目の前の原っぱの真ん中に座っていました。目の前を
廃線になった今で言う第3セクターの線路が、そのまま田んぼの中に延びています。
遠くから、自転車のベルの音とライトの光が暗闇を切り開きました。

私は、待っていたものと違うなあと思いました。チャリンなんて可愛い音では
なくて、999みたいな電車を待っているのに。
自転車には、顔を包帯で巻いた男の人が乗っていました。その人は、私を
抱き上げて後ろの荷台へ乗せました。



409 本当にあった怖い名無し 04/09/22 22:42:50 ID:EZV9YWcB
男の人は私を乗せたまま、線路をはずれました。それから庭の中に
入り自転車を止めました。庭と線路がある原っぱの間に境界はありません
でしたが、祖母が並べた白い小石が我が家の所有地を教えてくれていました。

しばらくして、電車が来ました。男の人の背中から乗り出してみたら、
それが駅でもよく見かけるオレンジ色の車両なことにがっかりしました。
家の前に停まりました。
電車にはたくさんの人がいましたが、もぞもぞと黒い影が動くだけで、
どれもよく姿が見られません。ドアが開いて、影達が降りました。
私は、それが自分を探していることに気づき、大きく手をふりました。
しかし、それらがこちらに気づく気配はありません。



411 本当にあった怖い名無し 04/09/22 22:52:49 ID:EZV9YWcB
ああ、めくらかあと思い、私はおーいと呼びました。
包帯の男の人が私を振り返りました。ひゅーひゅーと喉が鳴って、
怒っていました。私は初めて怖くなりました。ひゅーひゅーという
音で、喉が潰れていることを悟ったのです。

影達がのそのそとこちらに向かってきました。ベタベタと嫌な音を
させながら、腕らしきもので宙をかきます。私は声をかけた自分を
呪い、化け物に挟まれた状況に動揺していました。
しかし、影は庭に入ってきません。並べられた白い石の前で、もぞもぞと
動くだけです。安心したのもつかの間、影たちはひそひそと甲高い声で
なにやら呟きはじめました。ひとりだよ、ひとりだよ、ひとり出すまで
還らないよ

412 本当にあった怖い名無し 04/09/22 23:09:54 ID:EZV9YWcB
私は、それが自分のことであることを思い出しました。
行かなければいけないのだと突然思い知らされたのです。
母が手入れする庭と、家の中で寝静まる父や兄弟や祖母とはもう
別れられなければいけないと思ったのです。どんなに好きか分からないのに。

自転車をはい降りて、白い小石の前に立つと、包帯のその人が後ろに
立ちました。それから、その人はひょいと境界を越えてしまいました。
影達はその人の体にべったりとまとわりついて、そのまま連れて行こうと
しているのが分かりました。家族が連れて行かれないためには私が行くしかないのに。
私は男の人につく影を取ろうと、やっきりになりました。

413 本当にあった怖い名無し 04/09/22 23:23:49 ID:EZV9YWcB
男の人は私の両手を押さえて、そのまま私の前に跪きました。
同じ視線になってみて、私はやっとその包帯の下に目を見つけることが
出来ました。目があったとき、私はその人の瞳に見覚えがあると思いました。
私は手のひらで男の人の顔を包帯の上からなでました。
ひゅーひゅーという音と共に、掠れた声が耳に届きました。

やさしいなあ、やさしいなあ、お前のためなら平気だなあ

それからのことはよく覚えておらず、その時のことは自分の中で
夢として処理しました。しばらくして、私は実家のアルバムから
祖父の写真を見つけました。戦争で、祖母のもとに白い骨だけで
帰ってきた祖父の目元は、父とよく似ています。
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2017-12-08 20:42 : 怖い話 : コメント : 0 :
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