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工場の事務所




小学校低学年の時の話。

母が用事でいなかったため、しかたなく父の職場に連れていかれた。
日曜日だったので、工場には工場長の父と私だけ。
事務所にいなさい、絶対に出るなと言われ、父は仕事をしにいった。

しばらくして、どうしても探検したくなってしまい、
こっそり事務所を出ようとドアに手を掛けると、空いていたデスクの椅子が勝手に動いた。
人が立ち上がるようにスゥっと。
怖くなって、急いで事務所を出て、
父を探そうと、工場へ続く2枚のドア(ガラス窓がついてて向こうが見える)に向かったんだけど、
今度はそのドアが勝手に開いた。向こう側の一枚が。ガラスの向こうには誰もいなかったのに。

父の所に行くにはそのドアを通らなきゃならないが、とても怖くて行けなかった。
半べそで事務所に戻ろうとすると、後ろから「危ないよ」とはっきり聞こえた。男性の声だった。

仕方なくしばらく事務所でいじけてたら、父が戻ってきたので、泣きながらことの顛末を説明すると、
少し考えてから教えてくれた。
椅子が勝手に動いたデスクは、先日突然亡くなった事務員のおじさんの机だったと。
工場には危ない機械がたくさんあるから、お前が工場に行かないように見ててくれたんだろうと。
「そうか、まだ○○さんは仕事しに来てるんだな」と父は呟いてた。



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2018-09-16 20:28 : 怖い話 : コメント : 0 :
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